＜新型コロナ＞避難所対策、課題山積み　密回避なら収容人数減

コロナ対策を施した避難所設営訓練。密を避けようと収容人数を半減させた＝函南町立丹那小で 　昨年十月の台風１９号で大勢の住民が避難した狩野川沿いの県東部自治体が、避難所での新型コロナウイルス対策に頭を悩ませている。密を避けようとすると収容人数が減り、新たな避難先を確保するにも課題が山積みだ。識者は、避難所以外の安全な場所に逃げる「自主避難」の必要性を指摘する。（杉原雄介） 　小中学校の体育館を主な避難所とする函南町では、台風１９号の際に千四百二十三人が避難。道路が水没して帰れなくなった近隣自治体の住民もおり、函南中には六百九人が集中した。 　町は体育館内の密を避けるため、学校側に校舎内も避難所として開放するよう求めているが、森田裕之防災監は「避難生活が長引いたら、教室が授業で利用できなくなる」と懸念する。 　七日に丹那小であった避難所設営訓練では、コロナ対策で体育館入り口の受付をビニールで囲い、避難者の検温や問診を実施。発熱者らは他の避難者と接触させずに校舎へ誘導する仕組みとした。体育館内では段ボールの間仕切りを使い、広さ二畳の住居スペースを二メートル間隔で設けた。 　こうすると、体育館の収容人数は従来の九十人から四十五人に半減。森田防災監は「避難スペースと、間仕切りなどの保管場所が問題。受付時間も長くなるので、台風の時に外でどう待ってもらうか考えないと」と課題を挙げる。 　沼津市は１９号接近時、約二千九百人が避難。周囲が土砂災害警戒区域の第三地区センター（下香貫）に五百人以上が集まった。センター長だった川添孝行さん（７３）らスタッフは「とにかくぎゅうぎゅう詰めにした。密を避けたら百人入るかどうか」と頭を抱える。 　センターは避難者の分散に向け、各自治会に自治会館や公民館の活用を呼び掛けるが、川添さんは「老朽化している施設もある。小さい所では密になってしまう」と指摘。「分散しても情報が伝わるシステムを市が整備することも必要」と訴える。 ◆自主避難先の確保呼び掛け 台風１９号で冠水した沼津市大平地区。狩野川沿いの市町が被害を受け、多くの避難者が出た＝２０１９年１０月１３日撮影 　１９号で三千四百九十四人が避難した伊豆の国市の担当者も「避難所を増やす方針だが、一カ所に集中されると密を避けるのは困難」と語る。市内には伊豆長岡などの温泉場があり、宿泊施設を避難所とすることも検討しているという。 　避難所での密を避けつつ安全を守るため、各自治体が重視するのが、自主的な避難先の確保だ。ホームページや広報で「安全な親戚や友人宅に避難できるよう、あらかじめ連絡をとるなどのご協力をお願いします」などと呼び掛けている。 　静岡大防災総合センターの岩田孝仁（たかよし）特任教授も「日ごろからハザードマップを確認し、居住地の災害リスクや近くの安全な場所がどこかを把握しておくのが大切」と説く。水害時でも安全な場所の目安は「建物の三〜四階以上なら命を守れる可能性が高い」とする。 　自治体に対しては「公民館のスペースを広げたり、旅館やホテルを避難所として使えるよう協定を結んだりして避難先の選択肢を広げてほしい」と求めた。 関連キーワード 静岡 logo-en-hatena logo-en-twitter logo-en-facebook logo-en-line 関連記事ピックアップ小池都知事が本紙に語った危機感「駐車場にコンセントさえない」、コロナ「敵が入れ替わった」社会(2021年12月29日)技能五輪Road to Tokyo レストランサービスの“若き匠”金メダルへの猛特訓に密着AD（TOKYO MX on 東京新聞）なぜうその報告　答えず　川口いじめ直接謝罪　元校長メモ読み上げ「深く反省」首都圏ニュース(2022年1月7日)ジブリ美術館をコロナ禍が直撃 来館者は7分の1、大幅赤字に… 思い出のある人たちがふるさと納税で続々支援「有名人の娘だから？」と不安だった神田沙也加さんに宮本亞門さんが返した言葉　追悼ツイートで明かす文化・芸能(2021年12月19日)＜新型コロナ＞神奈川県で20人の新規確認　50代女性がオミクロン株感染か首都圏ニュース(2022年1月1日)蓄膿症の原因は鼻じゃない？蓄膿症に効く日本唯一の処方とはAD（源平製薬）主婦ライターのイチオシ「４つだけ覚える0円英語学習」1日30分の英語系ユーチューブが凄いAD（株式会社Creajoy）Recommended by
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