樋口一葉、世に出した編集者 大橋乙羽の評伝出版 墨田の「百年書房」

「樋口一葉を世に出した男大橋乙羽」の表紙。大橋乙羽の写真がある  小説「たけくらべ」をはじめとした作品を執筆し、台東区など現在の下町エリアを拠点に活動した樋口一葉(1872~96年)。明治を代表する女性作家で5000円札の肖像でも知られるが、その一葉を世に出した編集者、大橋乙羽(おとわ)の評伝が今月、墨田区の出版社「百年書房」から出版された。「乙羽がいなければ、一葉はお札になるほど有名にならなかったかもしれない」(百年書房の担当者)とも思わせるような、裏方としての手腕が記されている。 (井上幸一) 樋口一葉の生前に唯一出版された「通俗書簡文」(「樋口一葉を世に出した男大橋乙羽」より)  本のタイトルは「樋口一葉を世に出した男 大橋乙羽」。著者は大手広告会社で仕事をしてきた安藤貞之さんで、昨年十月に八十四歳で死去した。二十年ほど前から「日本初の編集者」とも称される乙羽に関して調べており、出版の志半ばで病に倒れ、遺族が思いを継いだ。  著書によると、乙羽は一八六九(明治二)年に現在の山形県に生まれた。作家活動をしていたが、九四年に東京の大手出版社「博文館」の創業者の娘と結婚、編集の仕事を始めた。写真撮影や装丁などもこなし、三十二歳の若さで亡くなっている。  編集者としては、博文館の文芸誌「文芸倶楽部」への寄稿を一葉に依頼し、「にごりえ」などを掲載。原稿料を支払うことで、生活が苦しかった一葉を金銭面でも助けた。手紙の書き方の指南書で、生前に唯一出版された一葉の単行本「通俗書簡文」は博文館から刊行されている。 著者の安藤貞之さん(百年書房提供)  一葉が広く知られるきっかけの一つが、作家の森鴎(旧字)外、幸田露伴、斎藤緑雨(りょくう)が鴎(旧字)外主宰の雑誌の批評会で「たけくらべ」を絶賛したこととされるが、安藤さんは、印刷工程や鴎(旧字)外らの行動記録などから、乙羽が批評会の日程を把握し、一葉の小説をあらかじめ三人に送っておいた画策があったと推測。また、五千円札の肖像画の基となったとみられる写真も、一葉の言葉の記録などから乙羽が撮影した可能性を指摘している。  乙羽は後に、藩閥政府側の伊藤博文と下野した大隈重信のツーショット写真をスクープ。晩年の勝海舟にも何回もインタビューしている。  安藤さんは、「遺言」ともいえる本の前書きで「乙羽という人物が時代に先駆けて疾走した姿をかいま見ていただけたら」と記している。  二千二百円(税別)。問い合わせは百年書房=電03(6666)9594=へ。 乙羽が写した伊藤博文(右)と大隈重信のツーショット写真(「樋口一葉を世に出した男大橋乙羽」より) 関連キーワード 東京 logo-en-hatena logo-en-twitter logo-en-facebook logo-en-line 関連記事ピックアップ精子取引トラブルで訴訟「京大卒独身日本人と言ったのに…経歴全部ウソ」精子提供者を女性が提訴 全国初か社会(2021年12月27日)ジブリ美術館をコロナ禍が直撃 来館者は7分の1、大幅赤字に… 思い出のある人たちがふるさと納税で続々支援なぜうその報告 答えず 川口いじめ直接謝罪 元校長メモ読み上げ「深く反省」首都圏ニュース(2022年1月7日)窪塚洋介さんが築いた離婚後の家族の形 子どもを尊重…今の妻も前の妻も一緒に小池都知事が本紙に語った危機感「駐車場にコンセントさえない」、コロナ「敵が入れ替わった」社会(2021年12月29日)コロナワクチンの3回目接種、政府が高齢者に前倒し実施へ 気になる副反応は?オミクロン株への効果は?社会(2022年1月6日)「日本にあればOK」持ち主じゃなくても実家の価値を調べられる方法AD(リビンマッチ)【脳は若返る】70代で脳年齢30才以下になる人続出中の「スマホ脳トレ」が話題AD(株式会社Art of Memory)Recommended by
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日期:2020/02/25点击:12