<参院選>1票の現場から 終わらぬ原発被害(上) 「政治への意識変えた」

今後の活動について打ち合わせをする「関東子ども健康調査支援基金」の木本さん(右端)、大石さん(奥)、佐藤さん(手前)らの共同代表=茨城県守谷市で  二〇一一年の東京電力福島第一原発事故を境に重要な政治課題となった原発問題。事故後に比較的高い空間放射線量が検出され、「ホットスポット」と呼ばれた東葛地域を中心に、母親たちが始めた子どもたちを健康被害から守る取り組みは、形を変えながら今も続く。  茨城県守谷市の常総生協に事務局を置く「関東子ども健康調査支援基金」は、被ばくによって生じる小児甲状腺がんの疑いを調べるため、エコー検査をする市民団体だ。一三年九月に発足以来、茨城、千葉、栃木、埼玉、神奈川の五県と東京都で巡回検診を行い、延べ一万人以上が受診した。  基金の共同代表・木本さゆりさん(49)=松戸市=は、事故当時、長男が小学校三年生、長女が二歳。身近な場所が放射能で汚染されていることを知って「地域の子どもたちみんなが救われるように、できる限りのことをやってみよう」と活動を始めた。  母親仲間と協力して勉強会を開き、通学路や学校給食などの放射線量測定や、除染、食品の産地表示などを市に要請したり、常総生協が呼び掛けた土壌調査に加わるなどした。共同代表の佐藤登志子さん(48)=我孫子市=も、二年生だった長男が通う小学校の校庭の除染を市に働き掛けたことが、行動の出発点だった。  同時期に、各地で母親たちが、木本さんや佐藤さんと、共通する取り組みを進めていた。「地域ごとに旗振り役がいて、自然発生的に行動を起こした。各地の市民団体がつながって『放射能からこどもを守ろう関東ネット』ができ、基金設立のきっかけとなった」と佐藤さんは振り返る。  八年の取り組みは、二人の「政治に向き合う意識を変えた」という。「行政を動かすにしても、根拠を自分たちの足で稼いで、示す必要性を痛感した」と佐藤さん。木本さんは「今回の参院選は、(震災時、小学三年だった)息子が初めて投票することもあり、感慨深い。原発という国策に関わる政治家には、放射能の汚染地域に住む人たちのことを考えてほしい」と話し、首都圏から最も近い東海第二原発(茨城県東海村)の再稼働に危機感を抱く。  基金の事務局長で同原発の運転差し止め訴訟の原告でもある大石光伸さん(61)は話す。「市民の自治運動がないと政治も動かない。原発を造っちゃった世代なので、次の世代にツケを残せない。参院選は衆院選よりも長期的な問題を考えることができるいい機会だ」 (堀場達) 関連キーワード 千葉 logo-en-hatena logo-en-twitter logo-en-facebook logo-en-line 関連記事ピックアップ小池都知事が本紙に語った危機感「駐車場にコンセントさえない」、コロナ「敵が入れ替わった」社会(2021年12月29日)「なぜ中学受験するのか?」に「正解」はありますか? おおたとしまささんに聞いてみた「有名人の娘だから?」と不安だった神田沙也加さんに宮本亞門さんが返した言葉 追悼ツイートで明かす文化・芸能(2021年12月19日)俳優 滝藤賢一さん 家族6人 2LDKで暮らしています!「絶対隠す」と決めた過去、ありのままに語り厚労省に採用…施設で育った女性「少しでもいいことに」社会(2022年1月4日)精子取引トラブルで訴訟「京大卒独身日本人と言ったのに…経歴全部ウソ」精子提供者を女性が提訴 全国初か社会(2021年12月27日)蓄膿症の原因は鼻じゃない?蓄膿症に効く日本唯一の処方とはAD(源平製薬)主婦ライターのイチオシ「4つだけ覚える0円英語学習」1日30分の英語系ユーチューブが凄いAD(株式会社Creajoy)Recommended by
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日期:2019/07/02点击:10