熊谷ひき逃げ事件 「自首して真実を」 時効まで3カ月 母親、撤廃求め署名

佐々木さんらによる事件の検証実験の様子を確認する小関代里子さん=23日  熊谷市で二〇〇九年、小学四年生の小関孝徳君=当時(10)=が死亡した未解決のひき逃げ事件の時効が、約三カ月後の九月末に迫った。母親の代里子さんは情報提供を呼び掛け続け、民間会社に証拠品の調査を依頼。事件に二台の車が絡んだ可能性も出てきた。「逃げた車の運転手しか分からないことがある。自首して真実を聞かせてほしい」と訴えるとともに、逃げ得につながりかねない時効の撤廃を求める署名活動にも取り組んでいる。 (森雅貴)  県警は七月から、専従の捜査員を十五人から二十七人に増員して事件の解決を目指す。ただ、進捗(しんちょく)状況については「捜査中」として代里子さんにも詳しい情報は伝えられていない。  「県警の初動捜査には疑問がある。証拠品も調べてくれたのだろうか」  もどかしさが募る中、代里子さんは民間の力も借りることに。四月に県警から自転車や衣服など証拠品の返却を受け、交通事故の分析を手掛ける日本交通事故調査機構(仙台市)に調査を依頼した。  同社代表の佐々木尋貴(ひろき)さん(55)は、元宮城県警警察官で長年交通捜査に携わっていたが、長男を交通事故で亡くしたのを機に退職。「警察の捜査結果は裁判が始まるまで教えてもらえず、事故の原因がわからなかった」経験から、一二年に会社を設立。現在は全国から相談が寄せられ、調査報告は裁判で鑑定書として活用されている。  今回の事件では、衣類のこすれた跡などを分析した結果、車二台が関与した可能性が浮上したという。今月二十三日には、熊谷市で実験を実施し、証拠品の自転車やリュック、孝徳君に見立てた人形などを使い、事故当時の状況を再現。実際に車二台を走らせて人形を乗せた自転車をはねるなどし、経緯を確認した。  「孝徳君は後方から車に追突されて転倒し、さらに対向車にはねられたのではないか」  佐々木さんによると、車に追突されて孝徳君が転倒した際に、背負っていたリュックが対向車線に飛び、それを避けようとした別の車が孝徳君をはねたと推測される。調査結果は今後、報告書にまとめ、県警に参考資料として提出するという。  佐々木さんから説明を受けた代里子さんは「後ではねた二台目の車への憤り」はもちろん「一台目の運転手が救助してくれれば、孝徳は助かったかもしれない」との思いを抱いた。  事件を調べるうち「時効は誰のためにあるのか」とも感じるように。「時効がなくなり、時間がたっても罪からは絶対に逃げられないとなれば、事故を起こしても現場から立ち去らずに救助してくれるのではないか」と考え、道交法違反(ひき逃げ)七年、自動車運転処罰法違反(過失致死)十年の現在の時効の撤廃を求める署名活動を始めた。  呼び掛けは、インターネットの署名サイト「Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」を利用。十八日に開始し、賛同者は二十八日午後六時現在で二万四千人を超えた。いずれ国に提出する予定だ。  「法改正は孝徳の事件の時効には間に合わないと思うが、署名をきっかけに交通犯罪の時効について考えてほしい」と代里子さん。  事件の情報提供を呼び掛けようと今年一月に開設したブログもこまめに更新している。「事故を起こした秘密を抱えて何年も生きていくのは難しく、誰かに何かを話しているかもしれない。ちょっとしたことでもいいので、情報をください。犯人は自ら真実を語ってほしい」と願っている。  情報提供は代里子さんのブログ=https://ameblo.jp/kosekitakanori/=へ。署名活動への参加は「キャンペーン・死亡ひき逃げ事故の時効撤廃を切実に求めます!」で検索を。 <熊谷小4ひき逃げ事件> 2009年9月30日午後6時50分ごろ、熊谷市本石1の市道で、自転車に乗っていた小学4年生の小関孝徳君=当時(10)=が書道教室からの帰宅途中、車にはねられ死亡し、車は逃走した。目撃者がおらず、タイヤ痕ぐらいしか物的証拠がない中で捜査は難航。道交法違反(ひき逃げ)罪の公訴時効が16年に成立し、自動車運転過失致死罪の時効も今年9月30日午前0時に迫る。 ひき逃げ事件の現場。孝徳君を悼む花が供えられている=いずれも熊谷市で 関連キーワード 埼玉 logo-en-hatena logo-en-twitter logo-en-facebook logo-en-line
(function() {
var pa = document.createElement(""script""); pa.type = ""text/javascript""; pa.charset = "utf-8"; pa.async = true;
pa.src = window.location.protocol + "//api.popin.cc/searchbox/tokyo-np.js";
var s = document.getElementsByTagName(""script"")[0]; s.parentNode.insertBefore(pa, s);
})();  おすすめ情報
googletag.cmd.push(function() { googletag.display(""div-gpt-ad-tn/article/text_a""); });
googletag.cmd.push(function() { googletag.display(""div-gpt-ad-tn/article/text_b""); });
首都圏ニュースの新着 記事一覧 <再発見!伊豆学講座>源頼家 闘争の末、悲運の将軍  源頼家は寿永元(一一八二)年、源頼朝の長子として母北条政子との間に生まれた。正治元(一一九九... 1月9日 <新型コロナ>静岡県内125人感染 100人超は昨年9月17日以来  静岡県内では八日、新たに百二十五人の新型コロナウイルス感染が確認された。県内で一日の新規感染者が百人... 1月9日 <新型コロナ>群馬県で新たに94人感染  群馬県は八日、新たに九十四人の新型コロナウイルス感染を確認したと発表した。保健所別では太田二十一人、... 1月9日 集める、調べる、伝える 博物館の役割紹介 那須野が原博物館で企画展  博物館の歴史や役割を紹介する企画展「ミュージアム×ミュージアム−博物館ってなにするところ?−... 1月9日 <新型コロナ>栃木県で69人の感染確認 宇都宮市の体育施設でクラスター  栃木県と宇都宮市は八日、新たに六十九人の新型コロナウイルス感染を確認したと発表した。県内の感染確認は... 1月9日 <近代茨城の肖像>(3)香川志保子 皇后の洋装化を支える  明治時代、着なれぬドレスを纏(まと)い始めた皇后を、茨城出身の一人の若い女性がスタイリストと... 1月9日

日期:2019/06/29点击:13