＜新型コロナ＞避難所の「密」対策急ぐ　梅雨入り控え「複合災害」備え各自治体

台風１９号の影響で浸水した川越市（手前）と坂戸市（左奥）など＝昨年１０月、本社ヘリ「あさづる」から 　梅雨入りを控え、新型コロナウイルス感染拡大と自然災害の発生が重なる「複合災害」への備えが求められている。避難所で集団感染が起きないように「三密」対策を進め、感染を恐れて逃げ遅れる人が出ないようにしなければならない。昨秋の台風で大きな被害を受けた自治体などは、避難所の運営方法の見直しや、衛生用品の購入などを急いでいる。（飯田樹与） 　「新型コロナとダブルで来たら、どうしようもないだろう。弱り目にたたり目だよ」。県内で床上浸水二千三百七十棟を含む家屋約七千棟が被災し、四人が死亡した昨年十月の台風１９号。ピーク時に三万余りの住民が避難所に身を寄せた。そのうちの一人、東松山市に住む会社員、相原美智也さん（５３）が、自身の体験と重ねて述べた。 　相原さんは都幾（とき）川の決壊で自宅が浸水し、市内のコミュニティーセンターで二カ月にわたって避難所生活を送った。初めの一週間は四十人ほど、一カ月たっても半数近くが残っていた。大広間に布団を敷いて寝起きし、間仕切りもない。「完全に『密』だったよ」。重症化リスクの高い高齢者が大勢いたことも気になるという。 　台風１９号の後、同市は一時避難場所を増やすなどしてきた。コロナ感染拡大後は、避難場所の三密対策として、学校の体育館だけでなく教室も避難所に指定してスペースを広げ、体調の悪い人を隔離する部屋も確保。着替えや授乳のために用意したテント型の「避難ルーム」が体調不良者用の個室スペースとして使えると考え、追加購入を検討している。 　「梅雨や台風シーズンの到来から逆算して、準備を進めている」と話すのは、同じく１９号で大きな被害が出た川越市。せきなどの症状がある人専用の個室やトイレを用意するなど避難所の運営マニュアルを改訂中。マスクや消毒液、使い捨てのペーパータオルといった衛生用品も発注したという。 　避難所の対策を強化する一方、さいたま市などは、安全を確認した上で自宅にとどまることや、親戚、友人宅への避難も検討するよう呼び掛け、分散化を図っている。 　県は、県庁に隣接し、災害発生時に司令塔となる「危機管理防災センター」内で、防災部門のスペースを拡大。災害時に対策本部を立ち上げるため通常は空けている二階の部屋が、春から新型コロナの対策本部で占められていたが、大型連休中に一部を一階へ移した。担当者は「新型コロナにも災害にもしっかり対応していく」と話している。 体調の悪い人の使用も考えている避難ルーム（東松山市提供） ◆災害時 ためらわず避難を　日本災害情報学会・片田敏孝会長 　日本災害情報学会は、新型コロナの感染リスク回避を念頭に、災害時の避難方法について提言している。 　どこで避難するかは、（１）自宅が浸水や土砂災害の危険がないなど安全が確保されている場合は動かず在宅避難（２）在宅避難が難しければ親類宅などへの避難を検討（３）それも難しい場合は躊躇（ちゅうちょ）せず避難所へ避難－の３段階で考える。自宅が安全かどうかは、住宅構造を調べ、市町村が提供するハザードマップで確認するよう勧めている。 　会長の片田敏孝・東京大大学院情報学環特任教授は「コロナがまん延しているからと避難をためらって災害で命を落とすようなことはあってはならない。今のうちに家族間で相談してほしい」と呼び掛けている。 関連キーワード 埼玉 logo-en-hatena logo-en-twitter logo-en-facebook logo-en-line 関連記事ピックアップ小池都知事が本紙に語った危機感「駐車場にコンセントさえない」、コロナ「敵が入れ替わった」社会(2021年12月29日)ジブリ美術館をコロナ禍が直撃 来館者は7分の1、大幅赤字に… 思い出のある人たちがふるさと納税で続々支援なぜうその報告　答えず　川口いじめ直接謝罪　元校長メモ読み上げ「深く反省」首都圏ニュース(2022年1月7日)窪塚洋介さんが築いた離婚後の家族の形 子どもを尊重…今の妻も前の妻も一緒に「有名人の娘だから？」と不安だった神田沙也加さんに宮本亞門さんが返した言葉　追悼ツイートで明かす文化・芸能(2021年12月19日)＜新型コロナ＞神奈川県で20人の新規確認　50代女性がオミクロン株感染か首都圏ニュース(2022年1月1日)蓄膿症の原因は鼻じゃない？蓄膿症に効く日本唯一の処方とはAD（源平製薬）「黒酢の21倍」耳鳴り世代が号泣の裏ワザとはAD（アイリンクス）Recommended by
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