東海第二再稼働 県民投票 知事「粛々と手続き」 県議会自民の対応焦点

大井川和彦知事(右)に県民投票を実施する意義を説明する「いばらき原発県民投票の会」の共同代表3人=県庁で  日本原子力発電東海第二原発(東海村)の再稼働の賛否を問う県民投票の実現を目指す「いばらき原発県民投票の会」は二十五日、地方自治法に基づき、住民投票条例の制定を大井川和彦知事に直接請求した。大井川知事は県議会六月定例会に、自身の意見を付けて条例案を提出する。焦点は県議会で過半数を占める最大会派「いばらき自民党」の対応に移る。 (宮尾幹成)  請求に添えた署名は、法定必要数(県内有権者数の2%)の一・七八倍に当たる八万六千七百三筆。県議会事務局によると、本県で住民投票条例の直接請求が成立したのは一九七二年以来、四十八年ぶり。  県民投票の会の鵜沢恵一、姜咲知子、徳田太郎の三共同代表はこの日、県庁で知事と面会した。徳田共同代表は「知事は日ごろ、県民の声をよく聞いて(再稼働の賛否を)判断したいとおっしゃっている。県民の声を聞く手法として県民投票は最適な手段だ」と説明。知事は「粛々と法令にのっとって手続きを進めていきたい」と述べた。  会が請求と併せて提出した条例案では、県民投票の期日を「知事が再稼働の是非を判断するまでの期間において、知事が定める」として知事に委ねた。県民が考え、話し合う十分な時間を確保するとともに、期日自体が争点化するのを避ける狙いという。  知事は六月八日に開会する県議会に条例案を提出する。ただ、定数六二(欠員二)の県議会で過半数の四十二議席を有するいばらき自民党が、県民投票の実施に慎重とみられるため、可決されるかは分からない。  徳田共同代表は県庁での記者会見で「政策内容ではなく政策過程を問う議案」と強調し、再稼働への賛否とは関係なく条例案に賛成してほしいと訴えた。  会は一月六日に署名集めを始め、四月十二日までに全市町村で終了。九万筆余りを各市町村選挙管理委員会に提出し、選管の審査や市民による「縦覧」を経て、有効署名数は八万六千七百三筆で確定した。 佐藤嘉幸・筑波大准教授 ◆間接民主制を補完 <「脱原発の哲学」の著書がある佐藤嘉幸・筑波大学准教授(社会思想)の話> 草の根の市民団体がこれほど多くの署名を集めたことは、再稼働賛成・反対、保守・革新を越えた県民の強い関心の表れと言える。日本の地方自治は、住民が首長と議会議員を選ぶ間接民主制と、住民投票のような直接民主制の二つの制度からなり、住民生活にとって重要な問題について住民投票で意思表示することは県民の権利だ。  知事選、県議選では経済が主要な争点とされるため、原発再稼働が争点になってきたとは言いがたく、県民投票は間接民主制がすくい取れていない論点を補完する重要な手段となる。東京電力福島第一原発事故後、原発再稼働は多くの県民にとって生活に直結した重要な問題と受け取られている。知事と県議会は今回の署名数を重く受け止め、県民投票を実現するべきだ。 ◆条例制定直接請求 県内初は48年前 乳幼児医療費助成で  県内では一九七二(昭和四十七)年に初めて、条例制定の直接請求があった。三歳までの医療費無料化を定める県乳幼児医療費助成条例の制定を求めていた。  県議会事務局によると、署名は六万百九十三人分だったと記録されている。議案は十二月議会に提案され、付託された厚生経済委員会に続き、本会議でも賛成少数で否決された。  当時の議事録では、乳幼児医療費の助成について、県は七三年度からの一歳未満の医療費無料化に向け検討を進めていたことが説明されている。  ただ、一気に三歳までに引き上げると、県財政が負担に耐えられるかの不安があり、実施主体は県ではなく、住民に近い市町村がなるべきことが、否決の理由に挙げられていた。 (鈴木学) ◆「慎重に判断」「最善尽くす」 県議会各会派コメント  県民投票条例案を審議することになる県議会の各会派に、どのような考え方で臨むか聞いた。なお「県民フォーラム」は全員、国民民主党に所属している。 <いばらき自民党の飯塚秋男政調会長> 直接請求の流れや他県の事例の勉強を始めたところ。条例案の内容はこれから検討する。 <県民フォーラムの斎藤英彰代表> 会派内にも立場によっていろいろな意見がある。全員で議論しながら審議に臨む。 <公明党の高崎進代表> 条例案の内容を検討し、添付される知事の意見も踏まえて協議する。 <自民県政クラブの臼井平八郎代表> 条例案の内容を精査し、慎重に判断する。 <日本共産党の山中たい子代表> 県内各地で集められた署名は、自分や子どもたち、孫世代の将来にも関わる原発再稼働という重要な問題について考え、意思表示する機会をつくってほしいという県民の率直な願いを表している。その願いが実るよう最善を尽くす。 <立憲民主党の玉造順一代表> 県民投票の会は大変ご苦労されて直接請求の条件をクリアした。原発再稼働は県民一人一人に関わる問題。署名の重みを踏まえて条例案に賛成する。 関連キーワード 茨城 logo-en-hatena logo-en-twitter logo-en-facebook logo-en-line 関連記事ピックアップ小池都知事が本紙に語った危機感「駐車場にコンセントさえない」、コロナ「敵が入れ替わった」社会(2021年12月29日)40歳で医学部に入学、3児を育てながら医師に 何歳になっても、何度でも挑戦できる精子取引トラブルで訴訟「京大卒独身日本人と言ったのに…経歴全部ウソ」精子提供者を女性が提訴 全国初か社会(2021年12月27日)技能五輪Road to Tokyo レストランサービスの“若き匠”金メダルへの猛特訓に密着AD(TOKYO MX on 東京新聞)なぜうその報告 答えず 川口いじめ直接謝罪 元校長メモ読み上げ「深く反省」首都圏ニュース(2022年1月7日)「有名人の娘だから?」と不安だった神田沙也加さんに宮本亞門さんが返した言葉 追悼ツイートで明かす文化・芸能(2021年12月19日)主婦ライターのイチオシ「4つだけ覚える0円英語学習」1日30分の英語系ユーチューブが凄いAD(株式会社Creajoy)高級化粧品信者だった私が認めた!「50代最後の砦化粧品」とはAD(ストレピア)Recommended by
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日期:2020/05/26点击:11