異例　主要候補表明なし　都知事選告示まで１カ月

　東京都知事選（七月五日投票）の告示まで十八日で残り一カ月となった。再選出馬が確実視される現職の小池百合子氏は意向を明らかにせず、新型コロナウイルス感染症の拡大もあって、主要政党の候補者擁立の動きは停滞している。 　二〇〇〇年以降の都知事選は六回行われ、うち任期満了による〇三、〇七、一一年は時間的な余裕を持って出馬表明する候補者が目立った。〇七年は告示の五カ月前には、現職の石原慎太郎氏への対抗馬が名乗りを上げている。 　石原氏の国政復帰によって行われた一二年も、石原氏が告示一カ月前に当時副知事の猪瀬直樹氏を後継指名している。猪瀬氏が現金授受問題で辞職した前々回一四年と、舛添要一氏が公私混同問題で辞職した前回一六年を除けば、ある程度の構図は早めに見えていた。一九九〇年代までさかのぼっても、告示の一カ月以上前には主要候補は名乗りを上げている。 　ところが今回は、現職が出馬すれば最も強いとされる二期目の選挙になるのに加え、その小池氏が新型コロナ対応で連日テレビに露出するなど注目を集める。小池氏に対立してきた自民党都連は、党本部の消極姿勢もあり、対抗馬擁立の主戦論はほぼ消滅した。立憲民主や共産なども野党共闘で統一候補を目指すものの難航し、野党関係者からは「新型コロナ問題の中で、選挙をやる場合か、という雰囲気もある。非常に難しい」との声が漏れる。 ◆求められる手腕とは？識者に聞く 「問われるポストコロナ」「将来の財政難に備えを」 　告示が一カ月後に迫った東京都知事選。新型コロナウイルス感染症の拡大もあり、有力な候補が一人も出馬表明していない異例の状況だが、今後の首都・東京のトップに求められる手腕とは。都政を知る三人の識者に聞いた。　（岡本太、小倉貞俊、原昌志） 　「東京をどう再建するか。『ポストコロナ』の東京の姿を問う知事選となる」 　中央大名誉教授で都政に関する多数の著書がある佐々木信夫氏はこう語る。 佐々木・中央大名誉教授 　「新型コロナでは、医療現場の混乱や満員電車など、人口千四百万人という超過密都市の負の側面が現れた。東京の現在の人口規模が果たして適正なのか、大いに疑問がある」とし、一極集中緩和が課題と指摘。 　財政面でも新型コロナ対策の支出や税収落ち込みで悪化が確実な状況とし、「その中でも東京は今後、高齢者急増や道路、橋など都市インフラの老朽化が進み、都市の維持に多額の費用がかかる。何を優先し、削減するのか。知事には明確なビジョンと高い経営能力が求められる」と語る。 上山・慶応大教授 　小池百合子知事のブレーンとして都特別顧問だった慶応大教授の上山信一氏も「東京はお金も人も豊富で、将来の危機感が都民に見えづらい。だが二〇二五年から人口が減り始め、新型コロナがなかったとしても税収の伸び悩みに直面する。他の都市とは十年のずれがあることを認識しなければならない」と警鐘を鳴らす。「都財政が厳しくなる現実と、それを見据えた取り組みについて有権者にはっきり示す責任がある。特に有力な候補者にこそ、そうした姿勢が求められるだろう」と語る。 　石原慎太郎都政で副知事などを務めた明治大名誉教授の青山〓（やすし）氏は「今後の都市のあり方をどう示すのか。今の都の長期戦略ビジョンには感染症対策の観点がない」と解説。 青山・明治大名誉教授 　「テレワークのための通信速度向上やセキュリティー確保など、通信インフラの不十分さをどう解決するか」と課題を挙げ、「鉄道の混雑解消は感染症対策の面からも重要。有楽町線の豊洲－住吉間延伸など早急に着手するべきだ」と、都市機能の強化を訴える。また三密（密閉、密集、密接）対策として「道路や公園などに飲食スペースを開放するような、これまで以上に屋外空間の有効活用が求められる」と注文する。 ※〓は人べんの右に八、その下に月 関連キーワード 社会 東京 東京都知事選2020 logo-en-hatena logo-en-twitter logo-en-facebook logo-en-line 関連記事ピックアップ精子取引トラブルで訴訟「京大卒独身日本人と言ったのに…経歴全部ウソ」精子提供者を女性が提訴　全国初か社会(2021年12月27日)ジブリ美術館をコロナ禍が直撃 来館者は7分の1、大幅赤字に… 思い出のある人たちがふるさと納税で続々支援小池都知事が本紙に語った危機感「駐車場にコンセントさえない」、コロナ「敵が入れ替わった」社会(2021年12月29日)これは「しつけ」なのか、親のメンツなのか〈お父ちゃんやってます！加瀬健太郎〉コロナワクチンの3回目接種、政府が高齢者に前倒し実施へ　気になる副反応は？オミクロン株への効果は？社会(2022年1月6日)3回目ワクチンの市町村配分決まる首都圏ニュース(2022年1月7日)「日本にあればOK」持ち主じゃなくても実家の価値を調べられる方法AD（リビンマッチ）「グラフ銀座本店」に、モデル・滝沢眞規子さんが初訪問。AD（グラフダイヤモンズジャパン on VERY NAVY）Recommended by
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