<東京2020 彩る人々>(4)ゴールボール 日本代表に内定 塙保己一学園・金子和也選手

日本代表に内定した金子選手。「ここからが始まり」と東京パラリンピックでの金メダルを見据える=所沢市民体育館で  スポーツ庁からゴールボールの強化拠点施設に指定されている所沢市民体育館。アイシェードを着けた金子和也選手(19)=県立特別支援学校塙保己一学園高等部専攻科二年=は日々、ここで練習に励んでいる。  中に鈴が入ったバスケットボール大のボールを、音を鳴らさないようにくるりと体を一回転し、左腕から投げると初速は時速六十五キロにも達する。「ドスン!」-と鈍い音を響かせ、守備側の相手の腕に当たったが、ボールはそのまま体を駆け上って背後のゴールに吸い込まれていった。  競技との出合いは中学三年の時。パラスポーツの体験イベントに母親に連れられ参加した。車いすテニスなど十五競技を試せる中、ゴールボールの男子日本代表が、見えないのに体全体を使ってボールを止めて投げ返した。その迫力あるプレーに「ワクワクした」。  野球少年だったが、小学四年になる直前、左目の視力が突然低下し、しばらくして右目も。一時、両目の視力が〇・〇三まで落ちた。太陽の光に目がくらみ、ボールが目に直撃する不運も重なり、野球から遠ざかった。「何で俺だけ?」と、休日は一日中、家にこもることもあった。  新たに夢中になったスポーツが、ゴールボールだった。「ボールを使って一緒に競技するのが楽しい。その中でも個々が光る」と野球との共通点を挙げる。二〇一五年に現在の学園の高等部に入学してから始め、一六年一月には日本代表候補選手に。海外遠征で世界を意識するようになり、パラ出場を目指してきた。  そして昨年十二月二十二日、東京パラへの出場が決まっている日本代表のメンバーに内定。幅を広く使った移動攻撃や速攻などが、チームの攻撃のバリエーションを豊かにすると評価された。  「ここからが始まり。金メダルを取るために突っ走るしかない」。支えてくれる人たちに最も高い表彰台に立つ姿を見せられるよう、さらなるレベルアップを誓う。 (飯田樹与) ◆日本代表男子ヘッドコーチ・江黒直樹さん 男子選手を指導する江黒さん(右)。東京パラの目標は「男女とも金メダル」と意気込む=所沢市の国立障害者リハビリテーションセンターで  ゴールボールで使うボールの重さは、バスケットボールの二倍以上。守備側の選手は体を張って失点を防ごうと努めるが、当たればかなりの威力がある。  「あばら骨が折れることもある。衝撃を和らげるために女子はプロテクターを着け、着けない男子は筋肉で体を覆う努力をする」  所沢市の国立障害者リハビリテーションセンター(国リハ)で活動するゴールボールクラブのコーチで、日本代表男子のヘッドコーチを兼務する江黒直樹さん(54)が話すように、格闘技さながらの激しい競技だ。  二〇一二年ロンドンパラリンピックでは、金メダルに輝いた代表女子のヘッドコーチも務めた江黒さん。選手に求められるものとして「重いボールを投げ続けるパワーと持久力。相手が投げたボールがゴロなのかバウンドしているのかを聞き分け、対応する瞬発力も欠かせない」と説明する。  選手の特性に応じた指導をする江黒さんを慕い、国リハのクラブには安達阿記子さん、田口侑治さんら男女のトップレベルの選手が集う。近くには強化拠点施設の市民体育館もあり、整った環境で代表チームの合宿ができるようになった。  体育館の拠点指定は一七年。市の担当者は「江黒さんと市が協働して、選手による子ども向けの講演会を開催するなどし、競技の周知を図ってきた。その成果だと思う」と、うれしそうに話す。  二〇年東京パラの目標を「男女ともに金メダル」と掲げる江黒さん。「アイシェードを装着すると、視界は漆黒の闇。その中で狙った場所にボールを投げ続けたり、声によるコミュニケーションで防いだりするゴールボールのすごさを、多くの人に見てほしい」と競技の普及も願っている。 (加藤木信夫) <ゴールボール> 視力の程度にかかわらず、選手が目隠しをして同条件でプレーする対戦型競技。1チーム3人で戦い、コートはバレーボールとほぼ同じ大きさ。攻撃側は鈴の入ったボールを転がしたりバウンドさせたりして相手ゴールを狙い、守備側は鈴の音などを頼りに体を投げ出すなどして防ぐ。日本代表は女子が強く、2012年ロンドンパラリンピックで金メダル、16年リオデジャネイロパラで5位に入賞した。 関連キーワード 埼玉 logo-en-hatena logo-en-twitter logo-en-facebook logo-en-line 関連記事ピックアップ精子取引トラブルで訴訟「京大卒独身日本人と言ったのに…経歴全部ウソ」精子提供者を女性が提訴 全国初か社会(2021年12月27日)技能五輪Road to Tokyo レストランサービスの“若き匠”金メダルへの猛特訓に密着AD(TOKYO MX on 東京新聞)「感染者、あっという間に倍」尾身会長が危機感 高齢者の3回目接種が最優先課題社会(2022年1月7日)ジブリ美術館をコロナ禍が直撃 来館者は7分の1、大幅赤字に… 思い出のある人たちがふるさと納税で続々支援小池都知事が本紙に語った危機感「駐車場にコンセントさえない」、コロナ「敵が入れ替わった」社会(2021年12月29日)「絶対隠す」と決めた過去、ありのままに語り厚労省に採用…施設で育った女性「少しでもいいことに」社会(2022年1月4日)「日本にあればOK」持ち主じゃなくても実家の価値を調べられる方法AD(リビンマッチ)【脳は若返る】70代で脳年齢30才以下になる人続出中の「スマホ脳トレ」が話題AD(株式会社Art of Memory)Recommended by
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日期:2020/01/05点击:11