災害対応「慌ただしい1年」 大野知事、就任1年 公約実現へ、真価問われる2年目

就任1年を前に、東京新聞のインタビューに応じる大野元裕知事=27日、県庁で  大野元裕知事(56)は三十日で就任一年となった。家畜伝染病「豚熱(CSF)」や台風19号、新型コロナウイルス感染症と相次ぐ災害対応に追われた「慌ただしい一年」。危機管理能力が評価される一方、公約に掲げた施策は具体化しておらず、真価が問われる二年目となる。(飯田樹与)  参院議員だった大野氏は「上田県政の継承と発展」を掲げ、昨年八月二十五日の知事選で初当選した。直後の九月に秩父市内の養豚場で関東初の豚熱が発生し、十一月までに計五軒で計約七千六百頭を殺処分。十月中旬には台風19号により四人が死亡、約五千七百戸が浸水被害に遭った。  年明けからは新型コロナの対応に奔走した。救急搬送される「疑い患者」のたらい回しを防ぐため、専用病床を確保。感染防止と社会経済活動の両立を図るため、全国に先駆けて店側に感染防止策を促す「彩の国『新しい生活様式』安心宣言」の制度を整えた。  四月には患者の急増に受け入れ態勢の整備が間に合わず、自宅待機中だった患者二人が死亡。確保していたはずの病床の一部が使えないことが判明し、大野氏が自ら医療機関に電話して病床確保を求めることもあったという。  一連の対応について、ある県幹部は「現場視察に行ったり、関係者に直接話を聞いたりと行動が早い。意外と政府にネットワークがあり、要望も素早い」と話す。医療関係者からは「取り組みはしっかりしているのに、県民が理解できる形で発信できていない」という指摘もあるが、総じて危機管理や実務能力の高さを評価する声が上がる。  一方で「取り組みたいことよりも、取り組まなければならないことに追われた一年だった」と自ら振り返るように、公共交通網の整備など、選挙公約に掲げた五大プロジェクトの具体化は進んでいない。  財源の面でも厳しい状況だ。本年度当初予算は災害に備えたインフラ整備など公共工事費が増え、過去最大の一兆九千六百三億円。しかし、数値が高いほど政策的に使える財源が少なくなる経常収支比率は97・7%(一九年度決算)と財政の硬直化が進む。  今後、新型コロナの影響で税収減が予想され、県財政がさらに悪化する可能性もある。「行政のあり方について考えることは必須。二年目を迎えるに当たり取り組むべき課題だ」と大野氏。行財政改革と併せて独自色をどのように出していくか、手腕が問われる。 ◆コロナ第2波ピークアウト「判断は時期尚早」本紙インタビュー  大野元裕知事は27日、本紙のインタビューに応じた。新型コロナウイルス関連では、第2波がピークアウトしたか「判断するのは時期尚早」との現状認識を示し、医療体制の強化や旅行業界などへの支援を表明した。 (聞き手=飯田樹与)  −この1年を振り返ると。  あっという間で慌ただしい1年だった。豚熱に続いて台風19号、新型コロナウイルスと、公約で掲げたことを全面的に追求するよりも、やらなければならないことに追われた。そのほとんどが危機管理関係。(危機管理が専門の)自分らしいところではないか。  −新型コロナの今の状況をどう見る。  6月後半から第2波が始まったが、現時点でピークアウトしたか判断するのは時期尚早だ。日々の数字に一喜一憂せず、緊張感を持ってワクチンが出てくるまで取り組んでいく。医療体制の面では検査、病床や療養施設の確保、疫学調査、クラスター(感染者集団)対策に力を入れる。  −県内経済への影響も甚大だ。  この悪い状況は継続、悪化するだろう。一番大切なのは資金繰りと雇用。中小企業への資金繰り支援として1兆2000億円の制度融資枠を設けたが、状況が続くなら暫時、増額していく。県内の旅行業者やバス事業者が相当痛んでいる。政府の「Go To トラベル」に上乗せする形だが、日帰り客が多い本県の特徴もカバーできる制度を近く明らかにするつもりだ。  −2年目に取り組むことは。  県の財政事情は急激に悪化し、税収も厳しい状況になるだろう。行政改革を進め、将来にわたって県の財政を持続可能で予測可能なものにする必要がある。改革の柱の一つは(デジタル技術で業務を改善する)デジタルトランスフォーメーション(DX)だ。例えば人工知能(AI)を活用し、業務プロセスの効率化を図る。DXは女性活躍の推進にも親和性が高いと思っているので進めたい。事業そのものについても不断に見直す必要がある。 関連キーワード 埼玉 logo-en-hatena logo-en-twitter logo-en-facebook logo-en-line 関連記事ピックアップ小池都知事が本紙に語った危機感「駐車場にコンセントさえない」、コロナ「敵が入れ替わった」社会(2021年12月29日)ジブリ美術館をコロナ禍が直撃 来館者は7分の1、大幅赤字に… 思い出のある人たちがふるさと納税で続々支援なぜうその報告 答えず 川口いじめ直接謝罪 元校長メモ読み上げ「深く反省」首都圏ニュース(2022年1月7日)技能五輪Road to Tokyo レストランサービスの“若き匠”金メダルへの猛特訓に密着AD(TOKYO MX on 東京新聞)精子取引トラブルで訴訟「京大卒独身日本人と言ったのに…経歴全部ウソ」精子提供者を女性が提訴 全国初か社会(2021年12月27日)コロナワクチンの3回目接種、政府が高齢者に前倒し実施へ 気になる副反応は?オミクロン株への効果は?社会(2022年1月6日)「黒酢の21倍」耳鳴り世代が号泣の裏ワザとはAD(アイリンクス)主婦ライターのイチオシ「4つだけ覚える0円英語学習」1日30分の英語系ユーチューブが凄いAD(株式会社Creajoy)Recommended by
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日期:2020/08/31点击:14