４選不出馬・森田知事　「全力で突っ走った」　県政運営は「及第点」

３期１２年を振り返る森田健作知事＝県庁で 　森田健作知事（７０）は十二日、来春の知事選に立候補しない意向を明らかにした。同日の会見で、県民の支えに感謝しながら、「残った任期を最後の『青春力』で乗り越え、頑張りたい」と語った。　（太田理英子） 　任期を「全力で突っ走ってきた」と振り返った森田知事。「一丁目一番地」だった東京湾アクアラインの通行料金値下げは国会議員時代の人脈で実現できたとし、「三十三年ぶりに木更津に小学校ができ、人口も増えてどれだけうれしかったか」と達成感をにじませた。 　成田空港機能強化などの公約も、大半は実現できたと強調。県政運営の評価は「俺は及第点だと思ってるよ。でも皆さんに判断してほしい」と話した。 　一方、昨年秋の台風発生時の対応を巡って批判を浴びたことには「私を含め、県全体で足りない部分があった。同じ轍（てつ）を踏まないようやってきて、今は万全だと思う」と述べた。 　「多選は良くない」と、三選に挑む時から三期目を集大成と位置付けていた。秋の台風到来の時期が過ぎ、新型コロナウイルス対策の医療提供体制が整ってきたことなどから、表明を決断。最初に意向を伝えた相手は、菅義偉首相だったとも明かした。 　記者団に今後の活動を問われると「少し休んで旅行に行きたい」と顔をほころばせた。 　知事選を巡っては、千葉市の熊谷俊人市長（４２）と元船橋市議の門田正則さん（７３）が出馬を表明している。 初当選を決め、支持者らに胴上げされる森田健作知事＝２００９年３月２９日、千葉市で ◆人脈生かした３期１２年　台風対応に批判も 　俳優出身の顔と人脈、熱い情熱で駆け抜けた３期１２年だった。 　２００９年に初当選すると、選挙公約の東京湾アクアライン通行料金の８００円への値下げの実現へ、すぐに麻生太郎首相（当時）と面談。否定的な麻生氏に対し、「値下げしないなら、千葉県はアクアラインなんかいらない。ぶっ壊してくれ」と言い放った。面談には、国会議員時代から親しい現首相の菅義偉・自民党選挙対策副委員長を引き連れるなど人脈を駆使し、話を一気にまとめ上げた。 　当選から４カ月後の０９年８月には早くも片道８００円化（普通車）を実現。同３０００円（同）だった際の１日平均の通行量は２万台だったが、現在は倍以上の４万８０００台まで増加した。 　２期目の１５〜１６年には、東京五輪・パラリンピックの計８競技を県に誘致。競技数は開催都市・東京に次ぐ多さで、大会組織委員会会長の森喜朗元首相とのつながりが大きかった。 　一方で、３期目の昨年秋、県民生活に打撃を与えた台風１５号の対応では、度重なる私的外出に批判も浴びた。オリパラの成功と、自ら考案したイベントで今年１０月に予定されていた「第５回ちばアクアラインマラソン」を花道と考えていたが、新型コロナウイルスの影響でいずれも実施されず。夢は次の時代に託された。　（中谷秀樹） ◆県内賛否の声　台風被災者「支援ほしかった」／アクアライン値下げ「感謝」 　森田健作知事が知事選への不出馬を表明したことを受け、県内の政財界、県民からはさまざまな声が聞かれた。 　県市長会会長の清水聖士・鎌ケ谷市長は「知事には市長会に何度も来ていただき、連携を取らせていただいたことを感謝している。ご苦労さまでした」と話した。 　県経済同友会の佐久間英利代表幹事は「経済活動の基盤となるインフラ整備において著しい功績をあげられた。残念ではあるが、清廉な人柄で、多くの県民に慕われた知事らしいご決断を尊重したい」とのコメントを発表した。 　千葉市稲毛区の建設業金沢弘憲さん（２６）は、「正直、目立った政策が思い浮かばない」というが、「自ら区切りをつけるのはよいこと」と評価した。 　レジャー施設「東京ドイツ村」（袖ケ浦市）の山尾隆一総支配人は、木更津市と川崎市を結ぶ「東京湾アクアライン」の通行料を八百円とした森田知事の看板政策について、「対岸からの来客が増え、県内の活性化にも貢献してくれた。森田知事には感謝状をあげたいくらい」と話す。その上で次期知事には「房総地域の活性化のためにも八百円はぜひ継続してほしい」と期待を寄せた。 　昨年秋の台風や豪雨への対応を巡っては、被災地からは批判の声も上がった。店舗兼住宅が大きな被害を受けた南房総市の旅館業清都みちるさん（５９）は「早急に被害状況を把握して、手厚い支援をしてほしかった」と話す。「次の知事には有事の際はもちろん、住民に何が必要か理解してくれて寄り添ってくれる人になってほしい」と語った。　（太田理英子、鈴木みのり、山口登史） 関連キーワード 千葉 logo-en-hatena logo-en-twitter logo-en-facebook logo-en-line 関連記事ピックアップなぜうその報告　答えず　川口いじめ直接謝罪　元校長メモ読み上げ「深く反省」首都圏ニュース(2022年1月7日)ジブリ美術館をコロナ禍が直撃 来館者は7分の1、大幅赤字に… 思い出のある人たちがふるさと納税で続々支援小池都知事が本紙に語った危機感「駐車場にコンセントさえない」、コロナ「敵が入れ替わった」社会(2021年12月29日)これは「しつけ」なのか、親のメンツなのか〈お父ちゃんやってます！加瀬健太郎〉精子取引トラブルで訴訟「京大卒独身日本人と言ったのに…経歴全部ウソ」精子提供者を女性が提訴　全国初か社会(2021年12月27日)コロナワクチンの3回目接種、政府が高齢者に前倒し実施へ　気になる副反応は？オミクロン株への効果は？社会(2022年1月6日)蓄膿症の原因は鼻じゃない？蓄膿症に効く日本唯一の処方とはAD（源平製薬）「黒酢の21倍」耳鳴り世代が号泣の裏ワザとはAD（アイリンクス）Recommended by
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