鑑賞会で、製作の背景などを語る田中悠輝監督(右)とプロデューサーを務めた鎌仲ひとみさん=杉並区 障害者が自立して生活する様子を描くドキュメンタリー映画「インディペンデント リビング」が完成し、三月に都内で公開される。介助を受けつつ鉄板焼き店でお好み焼きを頬張り、たばこに火をつけてもらって至福の表情を見せる障害者や、自立を巡って葛藤する親子の姿を映し出す。これがデビュー作となる田中悠輝監督(29)=江戸川区=は「障害者が施設や親元を離れて暮らす選択肢を示したい」と話す。 (梅野光春) 電動車いすで夜の大阪の繁華街を走る。地下鉄に乗る。家では介助を受けて食事を作り、入浴する。たばこをくわえ、ヘルパーに火をつけてもらい、「うまい。最高」と笑顔を浮かべる。一方、障害の影響で診察予定を忘れたわが子を見て、自立生活が成り立つのか、いら立ちを隠せない親-。 田中監督は二〇一六年夏から昨年春まで、大阪府内三カ所の自立生活センターを足場に、映像を撮りためた。自宅で暮らせば、施設と違って二十四時間のケアを受けられず、体調の急変を見過ごすリスクもある。それでも自立生活を選び、へこたれない姿を九十八分の作品にまとめた。 頸髄損傷の男性が、ヘルパー(中)に、たばこの火をつけてもらう映画の一シーン(c)ぶんぶんフィルムズ 頸髄(けいずい)損傷で車いす生活を送りつつ、自立生活センターを運営する男性が「地域に出たら刺激だらけで自分で考えなあかん。これが自立生活の醍醐味(だいごみ)。この仕事をやるために、おれは頸髄損傷になったんやなって思えるようになった」と語るシーンが印象的だ。 田中監督自身も、一六年春から江戸川区の自立生活センターでヘルパーとして働く。そこで開かれた映画鑑賞会で、映画製作・配給会社「ぶんぶんフィルムズ」(町田市)の鎌仲ひとみ代表に誘いを受け、撮影に踏み出した。 一月十四日には作品を十二分に再構成したショートバージョンの鑑賞会が杉並区の地元有志の主催で開かれた。田中監督は鎌仲さんや撮影スタッフらと製作の背景を披露。「障害者は周囲に『あれもできない、これもできない』『生産性がない』と言われ続け、自分でもそう考えていることがある。今回の作品は『自分にできないことがあっても、悪くないじゃん』という考えをもつ人たちの物語」と解説した。 作品のプロデューサーとして監督を支えた鎌仲さんは「笑って楽しめる映画になった。難しく考えずに見てもらいつつ『障害者の暮らしは大変だ』というイメージを覆したい」と話す。 撮影の舞台となった大阪では一月十一日から公開された。東京では三月十四日からユーロスペース(渋谷区円山町一)で公開予定。前売り券は、ぶんぶんフィルムズのウェブサイト上のショップで購入できる。 登場人物の豊かな表情を前面に出したポスター 関連キーワード 東京 logo-en-hatena logo-en-twitter logo-en-facebook logo-en-line 関連記事ピックアップ精子取引トラブルで訴訟「京大卒独身日本人と言ったのに…経歴全部ウソ」精子提供者を女性が提訴 全国初か社会(2021年12月27日)窪塚洋介さんが築いた離婚後の家族の形 子どもを尊重…今の妻も前の妻も一緒になぜうその報告 答えず 川口いじめ直接謝罪 元校長メモ読み上げ「深く反省」首都圏ニュース(2022年1月7日)ジブリ美術館をコロナ禍が直撃 来館者は7分の1、大幅赤字に… 思い出のある人たちがふるさと納税で続々支援小池都知事が本紙に語った危機感「駐車場にコンセントさえない」、コロナ「敵が入れ替わった」社会(2021年12月29日)コロナワクチンの3回目接種、政府が高齢者に前倒し実施へ 気になる副反応は?オミクロン株への効果は?社会(2022年1月6日)「日本にあればOK」持ち主じゃなくても実家の価値を調べられる方法AD(リビンマッチ)【脳は若返る】70代で脳年齢30才以下になる人続出中の「スマホ脳トレ」が話題AD(株式会社Art of Memory)Recommended by
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