「サロンで話せることを話して、元気になっていっていただきたい。自分もそうしてきたので」と話す大森静子さん=水戸市で 夫や妻、親など、それぞれ大切な人を亡くした人たちが集まり、胸の内を語り合う。「ふらっと みと」はそういう場だ。波のある気持ちがフラット(平ら)になってもらえるようにと名付けた。 「私自身が、話すことで自分が変わっていく体験をしました。私の場合、亡くしたのは夫で、当初は悲しみや苦しみがとがった感じでした。元気な夫婦を見るとうらやましいというより、怒りを感じるような。それが何回も話すことで、穏やかになっていくというか、自分の中でホロホロと何かが崩れていくような感覚があったんです」 生命保険会社勤務の夫を亡くしたのは一九九六年。食道がんだった。分かった時は手遅れだった。闘病期間は約一年。次女が高三の受験生だったことなどもあって苦労は多かった。 「誰かに気持ちを話したいと思っても、当時は自分で消化するしかなかった。遺族の話は、誰にでも聞かせられる話ばかりではありませんし。がんサロンができるようになって参加しましたが、患者さん中心で遺族は悲しみを語りづらい。遺族が思いを語れる場所があれば、とずっと思っていました」 遺族が思いを話せる場は当時、水戸市にはなく、古河市や土浦市に通った。有意義だったが、時間がかかった。土浦からの帰り、同じ方面の人たちと水戸にサロンをつくろうと意気投合。昨年から準備を進め、今年一月に発足させた。 毎月の会では参加者が自己紹介し、それぞれが体験を話す。「『何度話してもいいですよ』と言っています。一度話したら終わりでなく、何度でも。ただ『話したくないことはいいですよ』とも言います」 意見はせず、知り得た情報は口外しない。それが約束事だ。女性が多いが、毎回参加の男性たちもいる。初めて来る人もほぼ毎回いるが、それぞれが自分の体験を話すので自然に話せるという。県央、県北にはこうしたサロンがないため探し当てて来る人もいて、求められていることを感じる。 「何かやろうと思った時にフットワークは軽いんです。一大決心をして取り組むのではなく、失敗したら考えればいい。できることをやっているだけで、目が悪くて、できないことはメンバーたちが助けてくれる。目が悪いことも、悪いことばかりではないですね」 課題は広報活動だ。亡くなる人はいるし、そこには必ず遺族がいる。参加するしないは別に、まず知ってほしいと願う。 「私がそうだったように話すことで癒やされ、元気になってもらいたい思いは強いんです。元気になったら来なくていい。ここは通過点でいい。元気になるための場所だから」と優しい目で語る。 (鈴木学) ◇ 「ふらっと みと」は、毎月第2日曜午後2~4時にJR赤塚駅近くの水戸市福祉ボランティア会館「ミオス」で開催している。参加無料。アドバイザーとして、大切な人を亡くした人のサポートを学んだ看護師らにも参加してもらっている。希望者は大森さん=電029(253)3391=へ。 関連キーワード 茨城 logo-en-hatena logo-en-twitter logo-en-facebook logo-en-line 関連記事ピックアップ小池都知事が本紙に語った危機感「駐車場にコンセントさえない」、コロナ「敵が入れ替わった」社会(2021年12月29日)窪塚洋介さんが築いた離婚後の家族の形 子どもを尊重…今の妻も前の妻も一緒に精子取引トラブルで訴訟「京大卒独身日本人と言ったのに…経歴全部ウソ」精子提供者を女性が提訴 全国初か社会(2021年12月27日)ジブリ美術館をコロナ禍が直撃 来館者は7分の1、大幅赤字に… 思い出のある人たちがふるさと納税で続々支援「絶対隠す」と決めた過去、ありのままに語り厚労省に採用…施設で育った女性「少しでもいいことに」社会(2022年1月4日)「感染者、あっという間に倍」尾身会長が危機感 高齢者の3回目接種が最優先課題社会(2022年1月7日)【脳は若返る】70代で脳年齢30才以下になる人続出中の「スマホ脳トレ」が話題AD(株式会社Art of Memory)「日本にあればOK」持ち主じゃなくても実家の価値を調べられる方法AD(リビンマッチ)Recommended by
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