五輪の水際対策 「安全安心」に募る不安

2021年6月30日 来源:东京新闻

 新型コロナウイルスの検疫体制に「穴」が見つかった。菅義偉首相は東京五輪・パラリンピックの「安全安心な大会の実現」と言うが、不安は募るばかりだ。

 成田空港に到着したウガンダ代表選手団=写真=の一人が新型コロナの陽性と判明。宿泊療養施設に収容したが、その他の選手ら八人は、濃厚接触者か否か調べないまま入国させた上、選手団を事前合宿先の大阪府泉佐野市までバスで移動させた。

 到着後に現地の保健所が選手団を濃厚接触者と判定、うち一人の感染も分かった。二人は感染力が強いとされるインド型の変異ウイルス(デルタ株)だった。市職員やバスの運転手らも次々と濃厚接触者とされた。

 選手団は出国前にワクチン接種を受け、検査も二度行われていたが、合宿先で感染が判明した人は入国時の検査もすり抜けた。選手らを外部と接触させない「バブル方式」で守り、感染を拡大させないというが、感染への懸念は、そのバブル内で広がった。

 政府は濃厚接触者の判定は合宿先の保健所が担うとの立場だが、水際対策は政府の責任だ。空港で陽性者が分かった時点で、濃厚接触者を特定し、留め置くべきではなかったか。いまだルールが明確でないことに驚く。

 政府は、出国前検査の厳格化や入国時に濃厚接触者の疑いのある人の移動方法などの対応策を検討中だという。それでも感染拡大の懸念は残る。選手団を受け入れる自治体によっては、医療態勢が十分でない地域もある。自治体任せにすべきではない。

 最も重要な対策は一定期間の隔離徹底だ。今年二月のテニス全豪オープンでは、陽性者が出た航空機に同乗していた選手らを二週間の外出禁止にした。こうした実効性ある対策を取らずに、国内外から多くの人を集める大規模なイベントを開催していいのだろうか。

 本社が東京都内の有権者を対象に行った意識調査によると、五輪開催による感染拡大に「不安を感じる」人が八割近くに達する。

 国民の命や健康よりも、五輪の開催が優先されてはならない。



日期:2021/06/30点击:13